パワーハラスメントの定義と判断基準|企業対応・調査の進め方まで解説【弁護士監修】

 改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)により、すべての事業者にパワーハラスメント防止措置が義務化されています。
しかし実務では、

  • どこからがパワハラなのか分からない
  • 厳しい指導との違いが判断できない
  • 調査や対応をどう進めるべきか悩んでいる

という人事担当者の声が多く寄せられます。

 本記事では、企業として対応が必要となるパワーハラスメントの定義と判断基準を、実務視点で分かりやすく解説します。

ハラスメント調査の進め方については、こちらの記事も参考にしてください。

目次

企業として対応が必要な「パワーハラスメント」とは

 労働施策総合推進法30条の2第1項は、以下のように、パワーハラスメントを定義しています。

(雇用管理上の措置等)
第30条の2 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

労働施策総合推進法

 上記規定によれば、事業主として対応が必要となるパワハラとは、

①職場において行われる、

②優越的な関係を背景とした言動であって、

③業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであり、

④労働者の就業環境が害されるもの

という4つの要件をいずれも満たす行為者の言動、ということになります。

 それぞれの要件について詳しく見ていきましょう。

「①職場において行われる」とは

 「職場」とは、事業者が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば、「職場」に含まれます。

 通勤中や、出張先等、実質上職務の延長とみるべきものは「職場」に該当し、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に具体的な判断をすることになります。

 以下のような場面も該当する可能性があります。

  • 出張先・外出先
  • 業務上の移動中
  • 会社の飲み会・懇親会
  • オンライン会議・チャット・メール

 会社の懇親会等のお酒の場も、開催目的や参加者等によっては「職場」に該当する可能性があるので注意が必要です。

「②優越的な関係を背景とした言動」とは

 業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が、行為者とされる者に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われる言動を指します。

 一般的には上司による言動である場合が多いですが、同僚や部下による言動であっても、業務上の知識や経験に偏りがある場合であって、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難となるときや、集団による行為であってこれに抵抗又は拒絶することが困難となるものについては、該当することになります。

「③業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とは

 社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指し、その判断に当たっては、当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況、行為者の関係性等、様々な事情を総合的に考慮する必要があるとされています。

 例えば、適正な業務指示や指導はこれに該当しないとされている一方で、指導の一環であっても、人格を否定するような言動など、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、これに該当することとなります。

「④就業環境が害される」とは

 当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。

 支障の有無の判断は、平均的な労働者が、同様の状況で当該言動を受けた場合に、就業する上で看過できない程度の支障が生じると感じるような言動か否かをもって行われ、当該労働者にとって就業が困難であっても、必ず本要件が満たされるわけではないことに注意が必要です。

パワハラに該当すると考えられる6つの類型

 パワハラ該当性は、これまでに紹介した要件を前提に個別具体的に判断されるものですが、厚生労働省は、パワハラに該当しうる代表的な言動として、以下の6つの類型を指摘し、それぞれ該当すると考える例と、該当しないと考える例を挙げています。

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメント対策パンフレット」(5頁)

 これらの例は限定列挙ではない上、列挙されている例についても、パワハラに該当するか否かの判断は個別の事案の状況等によっても判断が異なる場合もあり得るものですが、パワハラ該当性判断を検討する上で有効な物差しとなる類型なので、意識しておくと良いですね。

実務上の重要ポイント(企業担当者向け)

 パワハラかどうかの判断は、法律判断であると同時に、事実認定の問題でもあります。

 実務では次のような課題が生じます。

  • 供述内容が食い違う
  • 記録が不十分で判断が難しい
  • 懲戒判断の根拠が弱い
  • 調査が長期化する
  • 社内対応に限界がある

 このような場合、中立的な第三者による外部調査代行を活用することが非常に有効です。

よくある質問(FAQ)

パワハラか判断できない場合は?

聴取すべき事項が不足しているために事実認定ができないケースが多くあります。事実関係の整理が必要です。社内調査を開始した後でも、当社までご相談ください。

社内調査で対応できますか?

事案によっては可能です。関係者が多い場合、ハラスメントを受けた期間が長い場合、トラブルにつながりそうな場合、人事担当者が関与する場合や、重大事案や紛争リスクがある場合には外部調査が特に有効です。
当社の調査をご利用の場合、調査結果に社外弁護士による法的意見を加えることで、調査結果の法的信頼性をさらに強化することが可能です。

調査代行を依頼するメリットは?

手続の公正性確保と紛争リスクの低減が可能になります。サービスの詳細は「ヒアリングによる事実調査」をご覧ください。

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 株式会社リーガルライトでは、ヒアリングによる事実調査・調査代行を提供しています。

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まとめ

パワハラとは、「①職場において行われる、②優越的な関係を背景とした言動であって、③業務上必要かつ相当な範囲を超えたものであり、④労働者の就業環境が害されるもの」を指します。

パワハラの判断は個別具体的な要素を総合考慮して行われ、対象となる言動を受けた労働者の主観のみで決まるわけではありません。

代表的な類型は、(1)身体的な攻撃、(2)精神的な攻撃、(3)人間関係からの切り離し、(4)過大な要求、(5)過小な要求、(6)個の侵害、ですが、これに限りません。

執筆者:株式会社リーガルライト 祐川 葉  

ハラスメント対応なら
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監修者

弁護士 祐川 友磨

慶應義塾大学法学部法律学科卒、早稲田大学法科大学院修了。
2015年の弁護士登録後、都内の弁護士事務所に勤務し、2021年に祐川法律事務所を開所。
企業法務・労務を中心に各種事案に幅広く対応。

監修者

弁護士 祐川 友磨

慶應義塾大学法学部法律学科卒、早稲田大学法科大学院修了。
2015年の弁護士登録後、都内の弁護士事務所に勤務し、2021年に祐川法律事務所を開所。
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