報告書 vs 陳述書|ハラスメント調査の信頼性を高める方法【弁護士監修】

ハラスメント調査では、ヒアリング内容の記録方法によって、調査結果の正確性と信頼性が大きく左右されます。
企業担当者から特に多く寄せられるのが次の疑問です。
- 報告書だけで十分なのか
- 陳述書とは何か、なぜ必要なのか
- どちらを作成すべきか
- 社内調査と外部調査の違い
本記事では、事例を通じて、報告書と陳述書の違いや調査の信頼性を高める方法について解説します。
事例:社内でパワハラが発生した場合
例えば、あなたが人事部門で働いていて、社内でパワハラが発生したという報告を受けたとします。あなたが、相談者Aさんと行為者Bさんのヒアリングを担当します。調査を進める中で、報告書と陳述書の違いに悩む場面が出てきます。
あなたは、相談者Aさんと行為者Bさんからそれぞれ話を聞いた結果を元に、「あかるい職場応援団」のホームページにある「行為者聞き取り票」を利用して報告書を作成しようと考えました。しかし、インターネットで調べてみると、弁護士事務所のサイトなどで「ヒアリング内容は陳述書を作成した方がいい」と書いてあることに気付きます。
あなたが悩んだのは、報告書と陳述書のどちらを作成するべきかという点でした。では、報告書と陳述書は何が異なり、どちらが適切なのかを見ていきましょう。
ヒアリング記録の方法|報告書と陳述書の違い
報告書とは?
報告書は、ヒアリング担当者が対象者の発言内容を整理し、企業へ提出するための担当者名義の文書です。報告書には担当者の判断が加わるため、主観的な要素が含まれる場合があります。
事例:あなたが作成した報告書
あなたが、Aさん、Bさんからヒアリングした内容を整理して報告書にまとめます。Aさんのヒアリングであれば、以下のように記載して報告書を作成することになります。
Aさんは、Bさんからパワハラを受けていると感じていました。特に、先週の会議でBさんに『お前は役に立たない』と言われ、その言葉がパワハラだと強く感じたと話していました。
報告書作成のメリットとリスク
メリット
- 作成が容易で調査を迅速に進めやすい
- 必要な情報を早期に収集できる
リスク
- 発言内容やニュアンスが変わる可能性
- 本人の意図とズレる場合がある
- 記録の信用性が相対的に低い
- ヒアリング担当者の主観を反映しやすい
- ヒアリング担当者が報告書作成者としての責任を負う
陳述書とは?
陳述書は、ヒアリング対象者本人の名義で作成される文書です。通常、本人が内容を確認し署名や押印を行います。
当社では、正確な事実認定のため、原則として陳述書の作成による調査をお勧めしています。
事例:Aさんが作成した陳述書
Aさんが自身の言葉で記載した陳述書は次のようになります。Aさんの言葉そのものが反映されます。
Bさんから毎日のように圧力を感じ、特に、先週の会議で私に対して『お前は役立たずだ』と言われてからは、Bさんの顔を見ると手の震えが止まらなくなりました。
陳述書作成のメリットとリスク
メリット
- 記録としての信用性が高い
- 正確性が高く、紛争リスクを低減できる
- 本人が内容を確認できるため、安心してヒアリングを受けられる
- 争訟に発展した場合、一次資料として使用できる
- 処分や調査結果における根拠が明白
- ヒアリング担当者の責任が軽減される
リスク
- 作成に時間を要し、ヒアリング担当者の負担が増す
- 長文になりやすい
当社の強み:元検察事務官としての経験
当社の代表は元検察事務官であり、供述調書の作成に精通しています。当社では、事実を整理して、供述を正確に書面に記録する手法を陳述書作成の場面で応用することで、信頼性の高い調査結果を提供しています。
ハラスメント調査は、単に事実を聴取するだけでなく、調査後の職場環境や人間関係に大きく影響します。
当社では、公正な調査を前提としながらも、当事者間の対立を過度に深めないよう配慮し、組織として納得感のある形で職場環境の改善につながる調査を重視しています。
事実認定と職場の安定を両立する点が、当社の調査の特徴です。

-1-300x158.jpg)
実務での陳述書作成手順
- ヒアリング担当者が陳述書案を作成
- 本人が内容を確認し、修正・補足
- 内容確定後、署名
この手順により、正確性と実務効率を両立しながら、調査結果の信頼性を高めることができます。
報告書と陳述書の比較
| 報告書 | 陳述書 | |
|---|---|---|
| 作成者 | 担当者 | 本人 |
| 正確性 | △ | ◎ |
| 信用性 | △ | ◎ |
| 負 担 | ◎ | △ |
| 迅速性 | ◎ | ○ |
ハラスメント調査でよくある問題(実務で多いケース)
報告書のみで進めた結果、次のような問題が生じた事案が多くあります。
- すべてのヒアリングが終了してから、相談者からハラスメントだと感じていたことの記載が漏れているとの指摘を受け、全員のヒアリングをやり直すことになった
- 行為者のヒアリング時の発言が曖昧なため、事実が確認できず、懲戒処分に進められない
- ヒアリングの度に供述内容が変わり、調査が長期化した
- 非開示希望の内容が誤って伝達されて紛争化し、ヒアリング対象者から示談金の提示を受けた
これらの問題は、ヒアリング記録の精度不足や確認不足によって起こる典型的な問題です。
社内調査の限界とは?外部調査代行で公正性と迅速性を確保する方法
次のような場合、調査失敗につながるリスクがあります。
- 懲戒処分を行う可能性が高い
- 労災申請の可能性があり、正確で中立的な調査記録が必要
- 供述が食い違う
- 重大事案
- 中立性の確保が難しい(ヒアリング担当者が行為者)
- 長期間にわたって被害を受けた旨の相談があり、事実整理が必要
- メール、チャット、領収書など複雑な証拠の精査が必要
このような場合には、外部調査代行を活用することが非常に有効です。
外部調査・調査代行のメリット
- 最小回数のヒアリングで調査の短期化
- 中立性・客観性の確保
- 供述整合性の検証
- 複雑な証拠の評価
- 調査期間の短縮
- 紛争リスクの低減
よくある質問(FAQ)
報告書だけでは不十分ですか?
事案によりますが、正確性を重視する場合、陳述書が望ましいです。
調査代行は必要ですか?
ヒアリング担当者が関与する場合や、重大事案や紛争リスクがある場合に特に有効です。
当社の調査をご利用の場合、調査結果に社外弁護士による法的意見を加えることで、調査結果の法的信頼性をさらに強化することが可能です。
調査期間はどのくらいですか?
初期の適切な調査設計により短縮することが可能です。詳しくは「ハラスメント調査の進め方|ヒアリングの順番と注意点を解説【弁護士監修】」をご覧ください。
ハラスメント調査の信頼性を高める方法をお知りになりたい企業様へ
ハラスメント調査では、ヒアリング記録の形式が調査の信頼性を左右します。
ヒアリング結果は、実際には報告書形式での報告がやむを得ない場合がほとんどかもしれません。報告書は迅速性がありますが、記載内容の正確性や発生するリスクなどを比較すると、陳述書を作成した方に大きなメリットがあります。判断に迷った場合、専門家に相談し、適切な方法を選択することが重要です。
当社では、捜査機関と同水準のヒアリングを実施し、短期間で、正確性の高い陳述書の作成が可能です。ご相談は無料です。報告書と陳述書、どちらを選べばよいか迷う場合、当社に今すぐご相談ください。
執筆者:株式会社リーガルライト 祐川 葉
執筆者:株式会社リーガルライト 祐川 葉
ハラスメント対応なら
法人様向けヒアリングによる事実調査専門の株式会社リーガルライトへ
ハラスメント対応なら
法人様向けヒアリングによる事実調査専門
株式会社リーガルライトへ
弁護士 祐川 友磨
慶應義塾大学法学部法律学科卒、早稲田大学法科大学院修了。
2015年の弁護士登録後、都内の弁護士事務所に勤務し、2021年に祐川法律事務所を開所。
企業法務・労務を中心に各種事案に幅広く対応。
弁護士 祐川 友磨
慶應義塾大学法学部法律学科卒、早稲田大学法科大学院修了。
2015年の弁護士登録後、都内の弁護士事務所に勤務し、2021年に祐川法律事務所を開所。
企業法務・労務を中心に各種事案に幅広く対応。

