ハラスメントの種類一覧|企業が対応すべきハラスメントと法令解説【2026年最新版・弁護士監修】

近年、職場では「パワハラ」「セクハラ」「妊娠・出産・育児休業等ハラスメント」に加え、「カスハラ」「アルハラ」「モラハラ」など、さまざまな「○○ハラスメント」を見聞きする機会が増えました。
もっとも、これらの呼称がすべて同じように法令で定義されているわけではありません。企業実務では、法令上定義が定められており対応が義務付けられているハラスメントと、明確な法令上の定義はなくとも内容次第で対応が必要になるハラスメントを分けて整理することが重要です。
2026年3月1日現在、厚生労働省の公表資料では、企業に対応義務があるものとして、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメント(併せて一般的にマタハラと呼ばれることもあります)が示されています。さらに、2026年10月1日からは、カスタマーハラスメント(カスハラ)と求職者等に対するセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)についても対応が義務化されます。(厚労省HP「職場におけるハラスメントの防止について」参照)
では、法令上のハラスメントに当たらない「○○ハラスメント」は、企業として対応しなくてよいのでしょうか。
結論からいえば、そうではありません。
企業が対応を義務付けられているハラスメントは、法令で明確に定義されたものだけに限定されません。たとえ法令上の定義がなくても、個別の言動が、パワハラやセクハラに該当したり、不利益取扱い、安全配慮義務違反、使用者責任の問題を生じさせるケースがあります。そのため、企業はハラスメントの「呼び名」ではなく、具体的な事案の中身を見て、必要に応じて法令上定義付けられているハラスメントと同様の対応をとる必要があります。
また、パワハラ・セクハラ・マタハラが法令で定義され企業が対応を義務付けられることになった背景には、各ハラスメントの防止に関する社会的な要請の高まりがあったことから、「〇〇ハラスメント」についても、時代の風潮に合わせて企業に対応が義務付けられる可能性もあります。
※ハラスメントの調査方法については、次の記事でも詳しく解説しています。

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ハラスメントの種類
「ハラスメント」は英語の harassment に由来し、一般には嫌がらせや迷惑行為を意味します。ただし、この言葉自体に、すべての場面で共通する一つの法的定義があるわけではありません。
そのため、企業実務では、「○○ハラスメント」という名称があるかどうかだけで判断してはいけません。事案に応じて、どのような言動があったのか、その言動が誰の就業環境を害したのか、どの法令や義務との関係で問題になるのかを個別に検討する必要があります。
2026年3月1日現在、法令で企業に対応が義務化されているハラスメント
パワー・ハラスメント(パワハラ)
厚労省は、職場におけるパワハラを、職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものと定義付けています。
なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワハラには該当しません。
パワハラの具体例
- 殴打、足蹴りを行うなどの「身体的な攻撃」
- 人格を否定するような言動などの「精神的な攻撃」
- 同僚が集団で無視をするような「人間関係からの切り離し」
- 私的な雑用処理や、遂行困難な業務を押し付けるような「過大な要求」
- 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事しか与えないなどの「過小な要求」
- 私的なことに過度に立ち入る「個の侵害」
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セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)
厚労省は、職場におけるセクハラとは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることと定義付けています。
セクハラの具体例
- 性的な冗談やからかい
- 食事や交際への執拗な誘い
- 不必要な身体接触
- 性的な言動を拒否したことを理由とする不利益取扱い

妊娠・出産・育児休業等ハラスメント(マタニティ・ハラスメント、マタハラ)
厚労省は、職場における妊娠・出産・育児休業等ハラスメントを、職場において行われる、上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業・介護休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることと定義付けています。一般には「マタハラ」「パタハラ」「ケアハラ」などの呼称が使われることがありますが、実務上は、呼称よりも、制度利用の妨害や不利益取扱いがあるかどうかが重要です。
マタハラの具体例
- 妊娠したことを理由に退職を促す
- 育児休業の取得を妨げる
- 時短勤務の利用に対して嫌味や圧力をかける
- 介護休業や介護のための制度利用を理由に不利益な扱いをする
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2026年10月1日から法令で企業に対応が義務化されるハラスメント
カスタマーハラスメント(顧客等からの著しい迷惑行為、カスハラ)
厚労省は、2026年10月1日から、カスハラ対策を事業主の義務とすることを公表しています。また、厚労省は指針で、職場におけるカスハラとは、職場において行われる、①顧客等の言動であって、②その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの要素を全て満たすものと定義付けています。
なお、2026年10月1日の施行以前は厚労省は「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」で推奨すべき対応を示しています。ただし、企業や業界により顧客等への対応方法・基準が異なるためカスハラを明確に定義することはできないとして、企業に具体的な対応を義務付けているものではありませんでした。
2026年10月1日以降のカスハラの具体例
- そもそも要求に理由がない又は商品・サービス等と全く関係のない要求
- 契約等により想定しているサービスを著しく超える要求
- 対応が著しく困難な又は対応が不可能な要求
- 不当な損害賠償要求
- 身体的な攻撃
- 精神的な攻撃
- 威圧的な言動
- 継続的、執拗な言動
- 拘束的な行動
なお、厚労省は、店舗及び施設等において対面で行われるもののみならず、電話やSNS等のインターネット上において行われるものも含まれると示しています。
求職者等に対するセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)
厚労省は、2026年10月1日から、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止措置も事業主の義務になると公表しています。また、厚労省は指針で、就活セクハラとは、事業主が雇用する労働者による性的な言動により求職者等の求職活動等が阻害されるものと定義付けています。これは、採用選考やインターンシップなど、雇用前の場面も企業のハラスメント対応の対象になることを意味します。
なお、厚労省は上記指針の中で、就活中のパワハラやマタハラについては「必要に応じて対応が望ましいもの」との位置づけをしています。
2026年10月1日以降の就活セクハラの具体例
- 少人数の説明会において、労働者が求職者等の腰、胸等に触ったため、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること
- 企業が実施するインターンシップにおいて、労働者が求職者等に対して性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行ったため、当該求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと
- 企業が実施するインターンシップにおいて、性的な内容を含むポスターの掲示や画面の表示等を行っているため、求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと
- 面接中、面接官を務める労働者から性的な事実に関する質問を受け、求職者が苦痛に感じてその求職活動の意欲が低下していること
- 求職者等が労働者への訪問を行った際、当該労働者に性的な関係を求められ、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること
- インターンシップ中に労働者が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること
なお、「令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査報告書」(厚生労働省)によれば、就活を経験した学生の約3人に1人が「何らかの就活ハラスメント」を受けているとされています。
企業の採用担当者や社員が「就活中でまだ従業員ではないから、ハラスメント対策の対象外」と誤解していると、企業にとって重大なリスクになります。早急に、採用のプロセスやルールを見直す必要があります。
法令で定義付けられていないハラスメント
妊娠・出産等に関する否定的な言動(プレマタハラ)
プレマタハラとは、妊娠に至る前に行われる、妊娠・出産等に対する否定的な言動を指します。厚労省も「令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査報告書」の中で、それらの行為を指す一般的な呼称として使用しています。
・上司による不妊治療に否定的な言動
・同僚による繁忙期の妊娠を非難する言動
・幹部による妊娠したいなら辞職してほしい旨の発言
セカンド・ハラスメント(セカハラ)
セカハラとは、ハラスメントの被害者がハラスメントを打ち明けたことによって受ける二次的な被害を指します。また、当該行為の一般的な呼称等として、厚労省が使用しています。
2022年4月にパワハラ相談窓口の設置義務化に伴って増加が懸念されています。
なお、2023年4月判決の早稲田大学のセクハラを巡る裁判でも、相談時の対応が二次被害として認められており、現在、注目を集めているハラスメントの一つです。
・ハラスメントの被害を訴えた方に対して、相談窓口担当者や、事実確認のヒアリングをおこなった役員による「仕事が遅ければ怒られても当然」、「我慢することも社会人として大切」、「あなたにも落ち度があった」などの言動
ソジ・ハラスメント(ソジハラ)
ソジハラとは、性的指向や性自認について差別的言動や嫌がらせをすることを指します。
英語で、恋 愛 感 情 又 は 性 的 感 情 の 対 象 と な る 性 別 に つ い て の 指 向 の こ と を「 性 的 指 向(Sexual Orientation)」、自己の性別についての認識のことを「性自認(Gender Identity)」と言い、頭文字をとってこのように呼ばれています。
2022年に発出された厚生労働省の指針により、「SOGI」が個人情報やプライバシーであると明記されており、事案によってはパワハラの一類型である「個の侵害」に該当する場合があります。
また、「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」では、企業に対して「雇用する労働者の理解増進に関して、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保などをおこなうことと、国や地方自治体の理解増進施策に協力することを努力義務」と定めており、今、注目を集めているハラスメントの一つです。
なお、性的性質を有する場合は「セクハラ」にも該当する場合があります。
・LGBTQに関する差別的な言動
・同性愛者を揶揄した発言や冗談
・本人の許可のないアウティング
アカデミック・ハラスメント(アカハラ)
アカハラとは、大学等の学内で、教員や職員が、教育上、研究上または職場での権力を利用して、学生・大学院生等の教育指導や研究活動に関係する妨害や嫌がらせの働きかけをしたり、不利益を与える行為を指します。また、当該行為の一般的な呼称等として、厚労省が使用しています。
優越性を利用した嫌がらせである点でパワハラに類似しますが、パワハラの3要件を満たさないため、労働施策総合推進法が定める法令上の「パワハラ」には該当しません。今、注目を浴びているハラスメントの一つです。
学生の就職に関連して
・就職活動への不利な扱い
・正当な理由を説明することなく、推薦状、在学証明書、委嘱状、実績証明書等の必要書類を書かない行為
アルコール・ハラスメント(アルハラ)
アルハラとは、お酒に関連する嫌がらせや迷惑行為全般を指します。
事案によっては、「パワハラ」にも該当する場合があります。また、デュエットを強要した場合には「セクハラ」にも該当する場合があります。
・お酌の強要
・一気飲みの強要
・飲酒の強要
・酔った上での迷惑行為
・酒席への強制参加
ジェンダー・ハラスメント(ジェンハラ)
ジェンハラとは、性別によって、あるべき価値観を押し付ける嫌がらせを指します。
これらの言動は性的な表現を含まないため、「セクハラ」に該当しない場合が多いのですが、「セクハラ」の温床になり得ることや、差別的な表現として「ソジハラ」や「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律(LGBT法、LGBT理解増進法)」とも関わりがあることから、近年、注目を集めています。
事案によっては、「セクハラ」や「パワハラ(過小な要求)」に該当する場合があります。
・「女のくせに」、「男のくせに」、「早く退職して結婚するのが女性の幸せ」と発言
・女性社員だけにお茶くみをさせる行為
ソーシャル・ハラスメント(ソーハラ)
ソーハラとは、Facebook・X・Instagramなどのソーシャルメディアを利用した嫌がらせ行為を指します。
事案によっては、パワハラに該当する場合があります。
・SNSでつながるように強要
・会社のイベント情報の投稿を強要
・個人のLINEを顧客との連絡用に強要
テクノロジー・ハラスメント(テクハラ)
テクハラとは、IT知識に疎く、パソコンやITツールの扱いが苦手な人に対する嫌がらせ行為を指します。
行為者に優越的な立場が認められる事案が多く、事案によっては「パワハラ」に該当する場合があります。
・パソコンの使用方法を教えている際の、「使えない人なんて今時いない」、「そんなことも分かりませんか」との発言
・パソコンが苦手な人にあえてパソコン操作を割り振る行為
マリッジ・ハラスメント(マリハラ)
マリハラとは、結婚をしていない人に対して、結婚を執拗に勧めたり、結婚していない理由を必要以上に詮索したり、結婚していることを責める言動を指します。
事案によって、「セクハラ」やジェンハラに該当する場合があります。
・「結婚しないの?」、「だから結婚できないんだよ」との発言
モラル・ハラスメント(モラハラ)
モラハラとは、精神的な嫌がらせを指します。
パワハラが定義される前から社会一般的に使用されており、世界的にも注目を浴びています。
「パワハラ」と重なり合う部分が多いですが、職場における優位性を利用したものが法令上の「パワハラ」であるのに対して、モラハラは優位性の有無に関係なく成立する点で「パワハラ」と異なります。
事案によっては、「パワハラ」、「セクハラ」や「マタハラ」に該当する場合があります。
・人格や尊厳を傷付けるような「死ね」「使えない」などの言動
・「無視をする」など精神的な暴力や嫌がらせ
リモート・ハラスメント(リモハラ)
リモハラとは、リモートワーク中に、「パワハラ」や「セクハラ」を含む嫌がらせ行為をすることを指します。
事案によっては、「パワハラ」や「セクハラ」に該当する場合があります。
・部屋や服装を指摘
・同居人を詮索
・カメラやマイクを常時ONにさせて監視
リストラ・ハラスメント(リスハラ)
リスハラとは、リストラ対象者を自主退職に追い詰める嫌がらせ行為を指します。
自主退職を断ったのに執拗に迫ったり、自主退職を断ったことによって嫌がらせを行う過度な退職勧奨は、違法行為である「退職強要」に該当する場合があります。
また、事案によって、「パワハラ」にも該当する場合があります。
・退職勧奨を断った場合の、窓際部署への異動
・勧奨退職の面談時間が長く、回数が多い
・「能力が低いからリストラ対象になった」などの発言
レイシャル・ハラスメント(レイハラ)
レイハラとは、人種・民族的嫌がらせを指します。
事案によっては、「パワハラ」に該当する場合があります。
・「国に帰れ」、「職場でベトナム語を話すな」などの発言
・日本語が分からないことを理由とした強制退職・強制退学
・宗教上の礼拝を制限
ハラスメント・ハラスメント(ハラハラ)
ハラハラとは、「ハラスメントを受けた」ことを過剰に主張し、勤務先に相談をすることなく自分の意思で勝手に業務を放棄したり、相手方に相談窓口への通報や会社に報告する可能性を示唆して自己に有利な条件を提示する行為を指します。
調査権を持つ会社側の判断を待たず、自己判断で勝手に業務を放棄する行為は、ハラハラを主張する側が労働契約上の職務専念義務違反に該当する可能性があります。
また、通報等の可能性を示唆して相手方に自己に有利な条件を提示する行為は、ハラハラを主張する側に優越的な立場が認められる場合、「パワハラ」に該当する場合があります。
ただし、会社側には、ハラスメントに該当するか否か微妙な場合にも広く相談に対応する義務があり、ハラスメントを主張した行為を安易にハラハラであるとした場合、会社側が適切な対応を怠ったとされる可能性や、いわゆる「二次被害」を防止するための措置を怠ったとされる可能性、相談等を理由にした不利益取扱い禁止義務に違反する可能性があり注意が必要です。
・上司に対して「それパワハラですから、もう指示は聞きません」と発言し、当該上司の業務上の指示を一切聞かない行為
・同僚に対して、セクハラだと会社に通報されたくなければ自分とシフトを変わるように要求する行為
スポーツ・ハラスメント(スポハラ)
スポハラとは、部活動やクラブチームなどのスポーツの現場において、暴力・暴言・差別的な指導などによって、安全安心にスポーツを楽しむことを害する行為を指します。
優越性を利用して嫌がらせを行った場合には「パワハラ」に、性的な言動があった場合には「セクハラ」に類似しますが、職場におけるパワハラの3要件を満たさないため、「パワハラ」や「マタハラ」には該当しません。
ただし、各スポーツ団体や都道府県のスポーツ協会が加盟する日本スポーツ協会では、独自に「パワハラ」や「セクハラ」を定義付け、各加盟団体もこれに違反した場合に資格停止等の処分を行っています。
・コーチの指示通りにプレーができなかった選手の顔を平手打ちにする行為
・ボールをキャッチミスした選手に対し、「駄目だろ」「いらねえ」「なんでそんなものも取れないんだよ」と大声で怒鳴る行為
・練習試合のプレー中の声が小さいことを理由に、数時間、体育館のステージに立たせて練習に参加させない行為
・スポーツマッサージと称して選手の身体に不必要に触る行為
ハラスメントへの該当性が微妙な場合の裁判例
ハラスメントをめぐる訴訟においては、パワハラ・セクハラ・マタハラに該当するのか微妙な事案でも、ハラスメントが認定された事案と同様、事業者側が安全配慮義務違反による使用者責任を問われ、損害賠償責任が認められた裁判例が複数存在します。
これは、訴訟におけるハラスメントの該当性の判断は、事業者や当該行為の違法性等を判断する一つのメルクマールにすぎないため、裁判所は、ハラスメントの該当性を判断することなく、事業者側の安全配慮義務違反等の有無によって事業者側の責任の有無を判断することができるからです。
また、ハラスメントの該当性の判断の有無で、事業者側が負う損害賠償額が必ずしも変わるわけではありません。
したがって、ハラスメントが疑われる事案が発生した場合、事業者においてハラスメント(法令上の)の該当性を判断することは大切ですが、安全配慮義務等の法令に違反していないか、違法行為に該当しないのかという観点から事案を検討し、事後対応を行うことが非常に重要です。
企業が取るべき実務対応
ハラスメントが疑われる事案では、企業は次の流れで対応することが重要です。
1. 相談を受け止める
「○○ハラスメント」は、法令上の定義はない、対応が義務付けられているハラスメントではないなどの決めつけや軽視をせず、相談を聞きながら相談内容を整理します。
2. 被害拡大を防止する
就業環境が害される状態が続いている場合には特に、早急な対応が必要。相談者の意向を確認するなどして、ハラスメント調査の実施前でも、必要に応じて、配置の調整や業務系統の見直しなどを検討します。
被害者保護、業務継続、秘密保持のバランスを取りながら、慎重な対応が必要です。
3. 迅速に事実確認を行う
相談者からハラスメント調査の意向確認後、関係者ヒアリング、メールや資料等証拠の確認、時系列の整理などの事実確認を通じて、客観的な事実関係を把握します。
一方当事者だけの説明で結論を出さないことが重要です。
4. 法令・就業規則上の評価を行う
事実確認の内容を整理し、当該行為が、セクハラ、パワハラ、マタハラ、カスハラ、就活セクハラに当たるのか、別の不法行為や就業規則等の社内ルール違反に当たるのかなどを評価します。
5. 再発防止措置を講じる
必要に応じて、行為者への処分や指導・社内研修・社内周知・相談体制の見直しなどの再発防止策を実施します。
ハラスメント対応については、次の記事でも詳しく解説しています。

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ハラスメント事案では、初動対応やヒアリングの進め方によって、事案の解決や企業リスクが大きく変わることがあります。
調査の進め方に不安がある場合は、専門家による事実調査の活用も重要です。
まとめ
「○○ハラスメント」という言葉は年々増えていますが、これらすべてが法令で定義付けされているわけではありません。
2026年3月時点で、厚労省は
- パワハラ
- セクハラ
- 妊娠・出産等に関するハラスメント
- 育児・介護休業等に関するハラスメント
について、企業に対応を義務付けています。
さらに2026年10月1日からは、
- カスハラ
- 就活セクハラ
への対応も義務化されます。
重要なのは「○○ハラスメント」という名称ではなく、具体的な言動の内容を検討することです。
企業は、就業環境への影響、安全配慮義務、使用者責任などの観点から、適切な対応を行う必要があります。
ハラスメント対応は、単なる苦情処理ではありません。企業のコンプライアンスや貴重な人材の定着、企業価値の維持に直結する重要な実務です。
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よくある質問(FAQ)
職場のハラスメントにはどのような種類がありますか?
職場のハラスメントには、法令で定義が定められているハラスメント・厚労省が定義付けはしなくとも呼称として使用しているハラスメント・法令で定義が定められていないハラスメントの3種類があります。2026年3月1日時点で法令上企業に措置義務があるハラスメントは、パワハラ、セクハラ、妊娠・出産等に関するハラスメントです。2026年10月1日からはここにカスハラと就活セクハラが加わります。
法令で定義付けられていないハラスメントにも、企業は対応する必要がありますか?
はい、必要があります。
名称だけを見ると法令上のハラスメントに該当しない場合でも、実際に事案の中身を精査したところパワハラやセクハラなどに該当する可能性や、法令上のハラスメントに該当しなくても安全配慮義務違反や使用者責任などの問題が生じる場合があります。そのため企業は、「○○ハラスメント」という名称にとらわれるのではなく、問題となっている言動をよく確認することが重要です。
カスハラ対策は企業の義務ですか?
2026年10月1日から、カスハラへの対応は企業の義務となります。
改正された労働施策総合推進法により、事業主は顧客等からの著しい迷惑行為によって労働者の就業環境が害されることを防止するため、必要な措置を講じることが求められます。
具体的な対応の一例
- カスハラ対応方針の策定・周知
- 相談窓口の設置
- 迅速な事実確認
- 再発防止策の実施
なお、2026年10月1日の施行前においても、顧客からの暴言や過度なクレームなどにより従業員の就業環境が害される場合には、安全配慮義務の観点から企業が適切な対応を行う必要があります。
ハラスメントが疑われる場合、企業はどのように対応すべきですか?
1 相談受理
2 相談者・通報者に対する保護措置
3 事実確認
4 ハラスメント該当性の判断、処分
5 再発防止策の実施
初動対応の遅れは企業側が責任を問われる可能性があります。迅速かつ公正な対応が重要です。
ハラスメント調査は社内で行うべきですか?
社内調査が難しい場合には、第三者による調査を行うことで、調査の公正性や信頼性を確保することができます。
特に次のようなケースでは、外部調査の活用を検討してください。
- 関係者多数の場合
- 事案が複雑な場合
- 人事担当者・役員が関与している場合
- 相談者から、社内調査の中立性や公正性への不安を打ち明けられたとき
執筆者:株式会社リーガルライト 祐川 葉
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弁護士 祐川 友磨
慶應義塾大学法学部法律学科卒、早稲田大学法科大学院修了。
2015年の弁護士登録後、都内の弁護士事務所に勤務し、2021年に祐川法律事務所を開所。
企業法務・労務を中心に各種事案に幅広く対応。
弁護士 祐川 友磨
慶應義塾大学法学部法律学科卒、早稲田大学法科大学院修了。
2015年の弁護士登録後、都内の弁護士事務所に勤務し、2021年に祐川法律事務所を開所。
企業法務・労務を中心に各種事案に幅広く対応。

